星の王子様の行き先

2000年6月29日

日本語を専攻してるイタリア人の学生で、日本人に興味津々と言う女の子に出会った。俺ってなんて幸運なんだろう。
この人、英語ができないし、日本語もまだ話す程じゃないからイタリア語で話さなくてはならない。まあ、それは俺の勉強のためにもいいから良いんだけど。

で、「6月29日に私は23年目を終えるんだけど、なにしてる?」って言ってきた。 イタリア語的表現らしいのだが初めて聞いたので、「それって、6月29日が誕生日って事?」って聞き返した。
会話は常にこんな調子で進む。でも、気の利いた表現とか、遠回しな表現ができない代わりに直接的な会話なので意外と話は面白かったりする。

そうか「6月29日は君の誕生日なのか、、、」

内心、私はとても驚いていた。なぜならそれは俺の誕生日でもあるのだ。

まあ、確率的には365分の1か。そんなにびっくりするほどの確率ではないけど、今までの人生で自分の周りの人で同じ誕生日の人って、二人しか知らない。この彼女が3人目。

で、これはちょっと自慢なんだけど、「星の王子様」の著者サンテグジュペリも同じく6月29日生まれ。
この「星の王子様」は飛行士だったサンテグジュペリが、サハラ砂漠に不時着した経験に基づいて書いたらしい。
実は私は、この事実を聞きつけて、サハラを旅した時にこの「星の王子様」の本を持っていき、サンテグジュペリになったつもりで砂漠をさまよい歩いてみて、砂漠の中で丘になっている辺りに座り、砂混じりの風を受けながら、この本を読んだ。
簡単な言葉しか使われていないし、童話のようでもあるのだが、哲学的な内容を含む不思議な本だった。実際に砂漠で読むと、この話、またはサンテグジュペリ、もしくは彼の哲学に、何となく少し近づけたような気がした。

このサハラの黄色い砂がページの間にはさまっている日本語版の「星の王子様」の本は私にとって、思い出の宝物のようなものだったが、なぜか、いつか執着なく誰かにあげたくなる日がくるような気がずっとしてた。で、今回イタリアにも持って来ていた。

そして、この、私とサンテグジュペリと同じ誕生日に生まれて、今日本語を勉強しているこの彼女にこの本をプレゼントした。
「縁」という日本語の言葉の意味も教えた。

宝物の「星の王子様」の本は、もう手元にない。でも、サハラでの思い出、本の内容、そして、この子に出会い、本をプレゼントしたことで、私のこの本に対する思い出はより大きく大切なものになった。





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